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Toby(@toby_24ss)のゲームブログ

時間を制する。 脱長考のすすめ

 こんばんは、本番に弱いタイプのTobyです。今回は大会での勝率を高めるために無駄な長考を減らすことがとても重要だよというおなはし。

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はじめに

 現在、シャドウバースやドラゴンクエストライバルズ等のDCGの大型大会で勝ちあがるには、スイスドロー、トーナメント何れの形でもBO3の試合を1日で7,8回はこなす必要があります。そのため、長ければ10時間以上大会という神経を使う場でプレーしなければなりません。よほどの体力の持ち主でない限りは、終盤にはプレーに疲労による影響が出ます。疲労は集中力や思考速度の低下を招きます。また、勇者杯やRAGEの決勝戦、配信卓等の大舞台では普段以上に多くのことを考えてしまい、短時間で通常の3倍以上の疲労をすることも珍しくありません。今回は、こういった場面で自分のパフォーマンスを最大限発揮するために私が考えていることを紹介します。

 大会シーンでの物理的な疲労の回復方法は、以前にブログで紹介しているのでよかったらそちらも合わせてお読みください。私のおすすめの回復方法は、糖分を取る、顔を洗う、目を閉じる(可能なら仮眠を取る)の3点です。

 

脳の疲労について

 前述の通り、脳は疲労します。肉体的な疲労と違って見えづらいですが、時間とともに疲労が蓄積していきます。脳の疲労により、頭の回転がどんどんと鈍っていきます。その結果、重要なターンで時間内に最善の策を見つけられない。最悪の場合、択を決められずに時間切れになってしまうという状況を招きます。そして、脳の疲労があるラインを超えると集中力、注意力の欠如が起こり、普段しないであろうプレミや見落とし、操作ミス等を引き起こします。

 

つまり...?

 なので、大会で勝つためには不要な長考を避けて脳の疲労をできるだけ避けることが重要です。

 

不要な長考

Case1:択が決まっている状況で他の択がないかギリギリまで考える。

 私もこれはよくやってしまうのですが、普段の練習はともかく大会では余力がある場合を除いてあまり頻発しない方が良いでしょう。しかし、まだ緊張していて見落としを起こしやすい初戦、敗退がかかっている重要な1戦、余力を十分に残せている場合の終盤戦等の場面では、ギリギリまで考える行動の価値が高いです。人間の体力は限りあるので長考のご利用は計画的に。

 

Case2:事前の検討が十分に行われていない。

 事前に十分に研究が行われていれば煩雑な盤面を除いて、あまり迷わずにプレーできるはずです。大会までにできるだけ多くのパターンを知って、大会での迷いを減らすことがとても重要です。

 

Tips: 考えているフリをする。

 メンタルが強靭な方におすすめの作戦。考えるのは疲れますが、考えるのではなくただ時間を消費する目的で時間を使うのは戦術としてありです。しかし、いくら考えなかったとしても、常人ならば試合という環境下に身を置いているだけで精神を摩耗します。なので、ここぞという時以外は避けるべきでしょう。また、無意味な長考は対戦相手から嫌われがちです。

 折角なので、長考のふりが有効である場面を紹介しておきます。

① 対戦相手がせっかちな人の場合。

 極端にプレーが早い。貧乏ゆすりをしている。しゃかぱちを多用している。早口である。こういった人はせっかちな場合が多いです。相手のペースに付き合わずにゆっくりと時間を使うことで相手のペースを崩せる可能性があります。しかし、露骨に時間を使うとオフラインの場合は対戦相手に睨まれる危険があります。また、無理に時間を使うと自分自身のペースを崩してしまう危険もあります。そのため、メンタルが強い方、マイペースな方以外にはこの作戦はあまりおすすめできません。

 

② ハンドを読ませない。 

 これは全員におすすめできる時間の使い方です。よくある場面としては、2ターン目にプレーできるカードがないのにある程度時間を使ってから相手にターンを返すというものです。これによって、対戦相手に2コストのカードをハンドに持っていたのにあえて出さなかったという考えを植え付けることができます。逆に、自信のあるデッキで大局観が備わっている場合、プレーできるカードがあるのにあえて即パスをするという動きも有効です。

 

デジタルカードゲームにおける強さとは

 カードゲームは将棋や囲碁等の頭脳ゲームと比べると見方によっては簡単なゲームです。その理由は各ターンの現実的な一手がせいぜい2,3手しかないためです。あるプロ棋士の方は、各局面の現実的な一手の数は平均すると5手程度だと答えていました。しかし、将棋や囲碁の場合はそこからその5手に対する相手の応手と次の自分の一手を2手先3手先と読んでいくので重要な分岐での読まないといけない手の数はDCGとは比較になりません。この違いは完全確定情報ゲームか不完全不確定情報ゲームかというところから生まれています。

 

Tips 完全確定情報ゲーム

・不完全情報ゲーム: 相手の手の内を完全に知ることができないゲーム。

・完全情報ゲーム:相手の手の内を完全に知ることができるゲーム。

・不確定情報ゲーム:運に自分の次の手が左右される可能性があるゲーム。

・確定情報ゲーム:運に自分の次の手が左右されないゲーム。

 

 不完全不確定情報ゲームであるDCGは相手の手を完全に読み切ることはできません。どんな手にも裏目が存在します。つまり、各手は期待値に沿って選択することになります。このとき、相手のそれまでの行動も評価値に入ります。

 例えば、全体AoEの聖弓の使い手・クルトを有効に使える場面があったのに相手がまだプレーしていないとします。このとき、相手はトップから引いていない限り、クルトをハンドに持っていない可能性が高く、クルトが裏目となるが強い択の評価が高くなります。しかし、相手はこちらの考えを読みあえてクルトを温存している可能性があります。これが対人ゲームの醍醐味の一つでもあります。

 完全確定情報ゲームの場合、相手が最善手を取ってくる前提で読みを進められるので、読みの力さえあれば何手先までも追うことができます。しかし、相手の手札と自分と相手の山札の上のカードが見えない以上、お互いの動きを完璧に読み切ることは不可能です。長くなってきたのでこのへんで結論に入ります。

 DCGの試合で必要な力は主に二つ。大局観処理能力です。これに加えてデッキ構築力と情報収集力も必要ですが、今回の議論の趣旨からは外れるのでここでは省略します。大局観によって膨大な可能性の中から最善の勝ち筋を追い、処理能力を高めて複雑な盤面に対応することがDCGにおける強さです。

 

大局観と処理能力

大局観

 大局観は特に、序中盤のターンの行動決定で役に立ちます。前述の通り、カードゲームではお互いのプレイヤーの上から引いてくるカードによって展開が変化していくため、完全に読み切ることは不可能です。しかし、様々な手を模索しながら同じデッキを繰り返し使用することで、そのデッキの強い動きや負け筋となる展開を脳にインプットすることができます。これによって、何ターンも先の展開をいくつかのパターンに絞って大雑把に予測し正しい選択を導きます。そのデッキの大局観が間違っている場合、勝率が大きく下がります。また、自分の大局観に自信を持てるとプレーを迷いなく行うことができるようになります。そうすることで、迷いによる無駄な思考を削り体力を温存できます。私たちプレイヤーの目標は、大会までにはデッキの大まかな勝ち筋とそこまでの持って行き方を研究して、大局観を身に着けることにあります。

 

処理能力

 DCGは1ターンの制限時間が決まっています。中盤以降の複雑な盤面で、この制限時間内に正しい選択肢を導くことは非常に難しいです。こういった場面で、処理能力が高いプレイヤーは有利となります。処理能力は、その時の体調やその人自身の頭の良さで前後します。しかし、パフォーマンスを高めるコツは多数存在するので今回はそれらを紹介します。

 

①確定行動

 少しでも長く思考に時間を割くために、絶対に行う行動は先に実行します。

 

②妥協択の確認

 時間内に最善択にたどり着けなかった時のための妥協択の手順を確認します。シャドウバースではターンが残り15秒の段階でターン終了を知らせる表示が始まります。妥協択のすべてをこなすのに15秒以上かかると感じる場合は、択は狭まりますが妥協択の行動を途中まで進めておく必要があります。

 

③パターン化

 何度も繰り返し練習する中で、思考の一部をスキップすることができるようになります。また、自ら積極的にパターン化を試みることも重要となります。

 例:リーサルとなり得るような打点計算を事前に済ませておく。

 

④大局観

 大局観が備わっていると、自分のデッキの強い動きを把握しているため弱い選択肢に惑わされて時間を失うリスクを回避できます。

 

⑤先の展開を考えながらプレーする

 毎ターン行きあたりばったりで考えるのではなく、常にこの後の展開を考えながらプレーします。これは非常に疲れるように感じるかもしれないですが、この考え方を癖にできるまで行えば、むしろ思考がまとまりやすくなり無駄な思考時間を減らせるためアドです。

 

⑥重要なターンになりそうな前の相手のターンにできるだけ手をシミュレート

 難しそうなターンは先にできるだけ考えておくとよいです。この時、トップのドローによって変わる選択肢も予想しておけると尚よいです。

 

 まとめると、重要なターンの思考時間は実は90秒ではないということです。実際には、

・直前の相手のターンの時間

・試合中に立てた事前に考えていたプラン

・過去の経験による思考の簡略化

 これらの積み重ねによるものです。そして、この重要なターンに十分に脳のリソースを割くためにそれ以外のターンの無駄な長考を減らしていくことが必要です。

おわりに

 特に集中力を必要とし長丁場の大会では、普段の思考速度の半分程度まで減少することも考慮すべきです。そういった場面で最大限パフォーマンスを発揮するためには事前の準備と正しい思考の仕方を身に着けておくことが非常に重要であると考えます。カードゲームは事前の準備がものを言うゲームです。勝負は始まる前に終わっています。

 この記事の感想、自分は大会でこんなことを意識している等ありましたら、コメントや引用RTで教えてくれると嬉しいです。それではまた。